物理 > 動く解説 > 物理基礎 第1編 運動とエネルギー|第2章 運動の法則
傾きの角 \(\theta\) のなめらかな斜面に,質量 \(m\)〔kg〕の物体を置く。重力 \(mg\) を斜面に沿う向きと垂直な向きに分けると,沿う力は \(mg\sin\theta\)? それとも \(mg\cos\theta\)?
斜面に沿って下向き。\(mg\sin\theta\)。
斜面に押しつける向き。\(mg\cos\theta\)。
sin か cos かは,角 \(\theta\) をはさむかどうかで決まる(はさむほうが cos)。まず,\(\theta\) がどこへ移るかを見る。
角 \(\theta\) の移り方(解説①),重力の分け方(解説②),角を変えた確かめ(解説③)の順に見る。
物体のところに,水平な線と斜面に平行な線を引く。
床と斜面のあいだの角と同じなので,2 本のあいだの角も \(\theta\)。
水平な線は重力の向きに,斜面に平行な線は斜面に垂直な向きに重なる。
2 本とも同じだけ回したので,重力と斜面に垂直な向きのあいだの角も \(\theta\)。
物体から鉛直に下ろした線と,斜面と,床で三角形ができる。この三角形の角は \(\theta\),90°,残りの角 \(\alpha\) なので,
\(\theta + 90° + \alpha = 180°\)
より \(\alpha = 90° - \theta\)。斜面に垂直な向きは斜面と 90° をなすので,重力とのあいだの角は \(90° - \alpha = \theta\)。
重力 \(mg\) を斜辺とする長方形を作る。2 辺が,斜面に垂直な力と沿う力になる。
\(\theta\) をはさむのは斜面に垂直な力。斜辺 × \(\cos\theta\) なので \(mg\cos\theta\)。
向かい側は斜面に沿う力。斜辺 × \(\sin\theta\) なので \(mg\sin\theta\)。
スライダーで \(\theta\) を 0 と 90° に近づけてみる。
\(\sin 0 = 0\) なので,沿う力は 0。床に置いた物体がすべり出さないのと合う。
\(\sin\theta \to 1\) なので,沿う力は \(mg\) に近づく。壁にそってそのまま落ちるのと合う。
「斜面だから \(\sin\)」と覚えない。斜面の角を鉛直から測って与えられたら,沿う力は \(mg\cos\theta\) に入れ替わる。\(\theta\) の位置を見る。
ショートでは扱わなかった先の話。分けた 2 つの力を使って,垂直抗力・加速度・すべり出す条件を求める。
なめらかな斜面。物体の加速度を \(a\)〔m/s²〕,斜面からの垂直抗力を \(N\)〔N〕とする。
物体は斜面から離れないので,
\(N = mg\cos\theta\)
沿う向き(下向き)の力は \(mg\sin\theta\) だけなので,
\(ma = mg\sin\theta\)
両辺を \(m\) でわると,
\(a = g\sin\theta\)
静止摩擦係数を \(\mu\) とする。最大摩擦力は \(\mu N = \mu mg\cos\theta\)。
\(mg\sin\theta > \mu mg\cos\theta\)
\(\tan\theta > \mu\)
すべり出す角は,質量によらず \(\mu\) だけで決まる。