物理 > 動く解説 > 物理基礎 第1編 運動とエネルギー|第2章 運動の法則
床の上の箱を,ひもで斜め上に力 \(F\) で引く。この力を横と縦の 2 つに分けると,横の力は \(F\sin\theta\)? それとも \(F\cos\theta\)?
力 \(F\) と角 \(\theta\) をつくる向きの力。\(F\cos\theta\)。
角 \(\theta\) の向かいにある向きの力。\(F\sin\theta\)。
なぜそうなるのか。直角三角形の三角比から順に見る。
三角比の定義(解説①),力に当てはめる(解説②),角を縦から測る(解説③)の順に見る。最後に,角の端の値で確かめる。
直角三角形の斜辺を \(a\),角 \(\theta\) をはさむ辺を \(b\),向かいの辺を \(c\) とする。
\(\cos\theta = \dfrac{b}{a}\)
両辺に \(a\) をかけると,
\(b = a\cos\theta\)
\(\sin\theta = \dfrac{c}{a}\)
両辺に \(a\) をかけると,
\(c = a\sin\theta\)
斜辺に \(\cos\theta\) をかけるとはさむ辺,\(\sin\theta\) をかけると向かいの辺になる。
力 \(F\) を斜辺とする長方形を作る。横と縦の 2 つの力は,長方形の 2 辺になる。
\(F\) の矢印の先から,横と縦に点線を引く。
斜辺 × \(\cos\theta\) なので,横の力は \(F\cos\theta\)。
斜辺 × \(\sin\theta\) なので,縦の力は \(F\sin\theta\)。
問題によっては,角 \(\theta\) を縦(鉛直)から測って与える。
\(\theta\) をはさむのは縦の力なので,縦が \(F\cos\theta\)。
横は向かい側になるので \(F\sin\theta\)。入れ替わる。
「横だから \(\cos\)」と覚えると,\(\theta\) を縦から測った問題で逆にする。先に \(\theta\) の位置を見る。
床から測った \(\theta\) を,0 と 90° に近づけて確かめる。
横 = \(F\cos 0 = F\),縦 = \(F\sin 0 = 0\)。力はぜんぶ横。
横 = \(F\cos 90° = 0\),縦 = \(F\sin 90° = F\)。力はぜんぶ縦。
どちらも見たとおり。端の値で確かめると,sin と cos の取り違えに気づける。
ショートでは扱わなかった先の話。よく使う角の値と,斜めに引くと床を押す力が減ることを見る。
| \(\theta\) | \(\cos\theta\) | \(\sin\theta\) |
|---|---|---|
| 30° | \(\dfrac{\sqrt{3}}{2}\) | \(\dfrac{1}{2}\) |
| 45° | \(\dfrac{1}{\sqrt{2}}\) | \(\dfrac{1}{\sqrt{2}}\) |
| 60° | \(\dfrac{1}{2}\) | \(\dfrac{\sqrt{3}}{2}\) |
30° と 60° は,\(\sin\) と \(\cos\) が入れ替わる。\(\theta\) を縦から測ると成分が入れ替わるのと同じ理由(\(\sin\theta = \cos(90° - \theta)\))。
質量 \(m\)〔kg〕の箱を,床から \(\theta\) の向きに力 \(F\)〔N〕で引く。箱は床から離れず,縦の向きの力はつりあっている。
上向き:床からの垂直抗力 \(N\)〔N〕と \(F\sin\theta\)。下向き:重力 \(mg\)。
\(N + F\sin\theta = mg\)
移項すると,
\(N = mg - F\sin\theta\)
箱を横へ進めるのは \(F\cos\theta\)。斜めに引くと,横の力は減るが,床を押す力も減る。
動摩擦力は \(\mu' N\)(\(\mu'\) は動摩擦係数)。\(N = mg - F\sin\theta\) なので,斜めに引くと摩擦力も小さくなる。重い荷物を少し上向きに引くと楽になるのは,このため。