物理 > 動く解説 > 物理 第2編 熱と気体|第1章 気体のエネルギーと状態変化
なめらかに動くピストンでふたをした気体を,膨らませる → 体積そのままで冷やす → 縮める → 体積そのままで温めるの 4 つの過程でひと回りさせ,もとの状態に戻す。ひと回りで取り出せる仕事と,熱効率はどうなるだろうか。
体積が変わらない 2 本では仕事は 0 なので,膨らむ過程と縮む過程の面積の差し引きが,そのまま囲む面積になる。
① 4 つの過程と平行四辺形 → ② 線の下の面積が仕事 → ③ どの過程で熱をもらうか → ④ 熱効率,の順に見る。
膨らみながら圧力も大きくなる過程と,縮みながら圧力も小さくなる過程で,圧力の変わり方(グラフの傾き)が同じなら,2 本は平行になる。
ピストンを止めたまま冷やす・温める過程では,体積が変わらないので,グラフはたての線になる。4 本で平行四辺形が閉じる。
膨らむときに圧力が大きく,縮むときに圧力が小さい。だから時計回りにひと回りし,気体は差し引きで外へ仕事をする(熱機関になる)。
気体が外へする仕事は \(\displaystyle\int P\,dV\)=その線の下の面積(図の緑)。
体積が減るので符号は負。その線の下の面積の分だけ,気体は仕事をされる(図の青の斜線)。
体積が変わらないので \(P\,\Delta V = 0\)。仕事は 0。
緑から青を引いた残りが,平行四辺形の中。つまり囲む面積がひと回りの正味の仕事。平行四辺形なので,よこの幅(体積の増え)とたての高さ(圧力の差)をかけるだけで出る。
状態方程式 \(PV = nRT\) より \(T \propto PV\)。グラフでは,原点とその点でつくる長方形の面積が温度のめやすになる。
ひと回りさせると,長方形が大きくなる(温度が高くなる)のは「膨らみながら圧力も大きくなる過程」と「体積そのままで圧力が大きくなる過程」の 2 つ。残りの 2 つでは温度が低くなる。
温度が高くなる過程では内部エネルギーが増え,仕事も外へするか 0 なので \(Q > 0\)=熱をもらう。残りの 2 つは逆で,熱を捨てる。 体積そのままの過程は仕事が 0 でも,内部エネルギーが増える分だけ熱をもらうのがポイント。
熱効率 \(e\) は,もらった熱のうちどれだけが仕事になったかの割合。\(e = \dfrac{\text{正味の仕事}}{\text{もらった熱}}\)。
分母に入れるのはもらった熱の合計(\(\Delta U\) も足したもの)。仕事だけを「吸収した熱」と考えると,熱効率を大きく見まちがえる。
もらった熱 − 捨てた熱 = 正味の仕事(ひと回りで \(\Delta U\) の和は 0 だから)。棒の残りの部分が,外へ捨てられる熱。
グラフが囲む面積。平行四辺形なら よこの幅 × たての高さ。時計回りなら外へ仕事をする。
\(e = \dfrac{\text{正味の仕事}}{\text{もらった熱}}\)。もらった熱は \(\Delta U\) も足して数える。
同じ平行四辺形を反時計回りにたどると,膨らむときの圧力のほうが小さくなるので,正味の仕事は負(外から仕事をされる)。 温度が高くなる過程と低くなる過程が入れかわり,低い温度の所で熱をもらって高い温度の所で熱を捨てる。これが冷蔵庫・ヒートポンプの向き。
\(T \propto PV\) なので,温度が同じ点を結ぶと反比例のグラフ(等温線)になる。平行四辺形の 4 つの頂点を等温線と見くらべると, いちばん温度が高いのは「膨らみ終わった頂点」,いちばん低いのは「縮み終わった頂点」。温度の高い所で熱をもらい,低い所で捨てている。
効率は (囲む面積)÷(もらった熱)。平行四辺形を縦長にする(圧力の差を大きくする)と面積は増えるが, 同時に温度の差も大きくなってもらう熱も増える。どこまで効率を上げられるかの上限を与えるのが,熱力学第二法則とカルノーサイクルの話になる。
この図では \(\Delta U = \dfrac{3}{2}nR\,\Delta T\)(単原子分子)で棒の長さを描いている。2 原子分子なら \(\dfrac{5}{2}nR\,\Delta T\) になり, もらう熱が増えるぶん効率は小さくなるが,「囲む面積が正味の仕事」「仕事だけでなく \(\Delta U\) も足す」という筋はそのまま変わらない。