物理 > 動く解説 > 物理 第5編 原子|第1章 電子と光
上が+,下が−の極板のあいだには,下向きの電場がある。ここへ電子を打ちこむと,電子が受ける力は,電場と同じ向きだろうか,逆向きだろうか。
電子は負の電荷なので,電場の中では電場と逆向き(+の極板のほう)に力を受ける。磁場から受けるローレンツ力も,フレミングの左手の法則で出した向きを逆にする。
なぜ正の電荷で考えるのか。電場の向きも電流の向きも,正の電荷をもとに決めてあるからだ。
電場の中(解説①)と磁場の中(解説②)で,同じ質量・同じ大きさの電荷をもつ正の電荷と電子を,同じ所から同じ速さで入れてくらべる。
電場の向きは,そこに置いた正の電荷が受ける力の向きと決めてある。
電荷 \(q\) が電場 \(E\) から受ける力は
\(F = qE\)
\(q > 0\) なら,力は電場と同じ向き(下向き)。
電子は負の電荷なので,力は電場と逆向き(上向き)。電子は+の極板のほうへ曲がる。
磁場も下向き。上から見ると,磁場は奥へ向かう向き(⊗)になる。
フレミングの左手の法則の中指は電流の向き。電流の向きは,正の電荷が動く向きと決めてある。
中指を正の電荷の進む向き(右),人差し指を磁場(奥)に合わせると,親指が力の向きで,図の上向き。
電子は負の電荷なので,力はその逆の図の下向き。電子は図の下(手前)へ曲がる。
磁場から受ける力は,いつも速度に垂直。だから速さは変わらず,向きだけが変わって円の一部を描く(磁場は仕事をしない)。
電場の向き・電流の向きは,正の電荷をもとに決めてある。力の向きは,まず正の電荷で考える。
電子のような負の電荷なら,最後に逆にする。電場の中では電場と逆向き,磁場の中では手で出した向きと逆向き。
電子の流れの向きと,電流の向きは逆。そこで,中指を電子の進む向きと逆(左)に向けて左手を使ってもよい。人差し指を磁場(奥)に合わせると,親指は図の下向き(手前)を向き,解説②と同じ向きになる。
どちらのやり方でも,「電子だから 1 回だけ逆にする」ことが大事。逆にするのを 2 回やると(電流の向きを逆にとったうえで,さらに力を逆にすると),正の電荷の向きに戻ってしまう。
電場と磁場を同時にかけると,電子は上(+の極板のほう。電場の力)と手前(ローレンツ力)の両方へずれる。2 つの力は直交するので,ずれはそれぞれの向きの力だけで別々に決まる。
トムソンは,このような装置で電子の曲がり方を測り,電気量と質量の比(比電荷)\(\dfrac{e}{m}\) を求めた。