物理 > 動く解説 > 物理 第5編 原子|第1章 電子と光

電子が受ける力の向き

❓ 1. 疑問と結論

上が+,下が−の極板のあいだには,下向きの電場がある。ここへ電子を打ちこむと,電子が受ける力は,電場と同じ向きだろうか,逆向きだろうか。

🎯 結論:電場と逆向き

まず正の電荷で考えて,負の電荷なら最後に逆にする

電子は負の電荷なので,電場の中では電場と逆向き(+の極板のほう)に力を受ける。磁場から受けるローレンツ力も,フレミングの左手の法則で出した向きを逆にする。

なぜ正の電荷で考えるのか。電場の向きも電流の向きも,正の電荷をもとに決めてあるからだ。

📚 2. 解説

電場の中(解説①)と磁場の中(解説②)で,同じ質量・同じ大きさの電荷をもつ正の電荷と電子を,同じ所から同じ速さで入れてくらべる。

⚡ 解説①:電場の中の力

  1. 電場の向きの決め方

    電場の向きは,そこに置いた正の電荷が受ける力の向きと決めてある。

  2. \(F = qE\)

    電荷 \(q\) が電場 \(E\) から受ける力は

    \(F = qE\)

    \(q > 0\) なら,力は電場と同じ向き(下向き)。

  3. 電子は \(q < 0\)

    電子は負の電荷なので,力は電場と逆向き(上向き)。電子は+の極板のほうへ曲がる。

🧲 解説②:磁場の中の力(ローレンツ力)

  1. 上から見る

    磁場も下向き。上から見ると,磁場は奥へ向かう向き(⊗)になる。

  2. まず正の電荷で,左手を使う

    フレミングの左手の法則の中指は電流の向き。電流の向きは,正の電荷が動く向きと決めてある。

    中指を正の電荷の進む向き(右),人差し指を磁場(奥)に合わせると,親指が力の向きで,図の上向き。

  3. 電子は逆

    電子は負の電荷なので,力はその逆の図の下向き。電子は図の下(手前)へ曲がる。

磁場から受ける力は,いつも速度に垂直。だから速さは変わらず,向きだけが変わって円の一部を描く(磁場は仕事をしない)。

⚠️ つまずき

🔑 まとめ

🔍 3. もっと詳しく

🔁 電流の向きを逆にとっても同じ

電子の流れの向きと,電流の向きは逆。そこで,中指を電子の進む向きと逆(左)に向けて左手を使ってもよい。人差し指を磁場(奥)に合わせると,親指は図の下向き(手前)を向き,解説②と同じ向きになる。

どちらのやり方でも,「電子だから 1 回だけ逆にする」ことが大事。逆にするのを 2 回やると(電流の向きを逆にとったうえで,さらに力を逆にすると),正の電荷の向きに戻ってしまう。

🧪 電場と磁場を両方かけると

電場と磁場を同時にかけると,電子は上(+の極板のほう。電場の力)と手前(ローレンツ力)の両方へずれる。2 つの力は直交するので,ずれはそれぞれの向きの力だけで別々に決まる。

トムソンは,このような装置で電子の曲がり方を測り,電気量と質量の比(比電荷)\(\dfrac{e}{m}\) を求めた。