物理 > 動く解説 > 物理基礎 第1編 運動とエネルギー|第1章 運動の表し方
ボールをまっすぐ上へ投げ上げる。いちばん高い所では一瞬止まって見え,速度は \(0\)。では,加速度も \(0\) になっているだろうか。
上向き → 短くなる → \(0\) → 下向きに長くなる。
ずっと下向きに \(g\)(大きさも向きも変わらない)。
なぜ加速度が変わらないのか。はたらく力から見る。
速度の矢印を追う(解説①),はたらく力を数える(解説②),もし \(0\) ならどうなるかを考える(確かめ)の順に見る。
上向きで,1 秒あたり \(g\) ずつ短くなる。
\(v = v_0 - gt\)
\(v = 0\)。到達するのは \(t = \dfrac{v_0}{g}\),高さは \(\dfrac{v_0^2}{2g}\)。
下向きに,1 秒あたり \(g\) ずつ長くなる。等しい時間ごとの残像は,上ほど間がつまる(減速している)。
空気の抵抗を無視すると,ボールにはたらく力は重力 \(mg\) だけ。投げた手はもう離れているので,上向きの力はない。
\(ma = -mg\) → \(a = -g\)
(上向きを正としたので負)。ここに時間 \(t\) も速度 \(v\) も入っていない。
力が変わらないので,加速度もずっと同じ。最高点でも例外ではない。
加速度が \(0\) なら,速度は変わらない。最高点の速度は \(0\) なので,\(0\) のまま——つまりボールはそこで浮いたまま落ちてこないことになる。実際には落ちてくるので,加速度は \(0\) ではない。
速度は「どれだけ速いか」,加速度は「速度がどう変わるか」。片方が \(0\) でも,もう片方が \(0\) とはかぎらない。
\(ma = F\)。力が変わらなければ,加速度も変わらない。
投げ上げの \(v\)–\(t\) グラフは,傾きが \(-g\) の 1 本の直線。最高点は,この直線が \(v = 0\) を横切る点にすぎない。
グラフの傾きが加速度。直線がまっすぐ(折れていない)=加速度が変わっていない,ということ。最高点でグラフが折れたり平らになったりはしない。
実際には空気の抵抗がはたらく。抵抗は動く向きと逆なので,上がる間は下向き(加速度は \(g\) より大きい),落ちる間は上向き(加速度は \(g\) より小さい)。最高点では速さが \(0\) なので抵抗も \(0\) になり,そこだけはちょうど \(a = g\)。
抵抗がなければ,上がる時間と落ちる時間は等しく,どちらも \(\dfrac{v_0}{g}\)。抵抗があると,上がる間のほうが加速度が大きい(速く減速する)ので,上がる時間のほうが短くなる。もどってきたときの速さも,投げたときより小さい。