物理 > 動く解説 > 物理基礎 第1編 運動とエネルギー|第1章 運動の表し方

最高点で 加速度は 0?

❓ 1. 疑問と結論

ボールをまっすぐ上へ投げ上げる。いちばん高い所では一瞬止まって見え,速度は \(0\)。では,加速度も \(0\) になっているだろうか。

🎯 結論:0 になるのは速度だけ

最高点で \(0\) になるのは速度だけ。加速度は,上がる間も・最高点でも・落ちる間も,下向きに \(g\) のまま。
💡
加速度……速度の変わり方。速度そのものの大きさとは別もの。速度が \(0\) でも,変わり方が \(0\) とはかぎらない

なぜ加速度が変わらないのか。はたらく力から見る。

📚 2. 解説と確かめ

速度の矢印を追う(解説①),はたらく力を数える(解説②),もし \(0\) ならどうなるかを考える(確かめ)の順に見る。

🔵 解説①:速度の矢印を追う

  1. 上がる間

    上向きで,1 秒あたり \(g\) ずつ短くなる。

    \(v = v_0 - gt\)

  2. 最高点

    \(v = 0\)。到達するのは \(t = \dfrac{v_0}{g}\),高さは \(\dfrac{v_0^2}{2g}\)。

  3. 落ちる間

    下向きに,1 秒あたり \(g\) ずつ長くなる。等しい時間ごとの残像は,上ほど間がつまる(減速している)。

🔴 解説②:はたらく力は重力だけ

  1. 力を数える

    空気の抵抗を無視すると,ボールにはたらく力は重力 \(mg\) だけ。投げた手はもう離れているので,上向きの力はない。

  2. 運動方程式

    \(ma = -mg\) → \(a = -g\)

    (上向きを正としたので負)。ここに時間 \(t\) も速度 \(v\) も入っていない。

  3. だから変わらない

    力が変わらないので,加速度もずっと同じ。最高点でも例外ではない。

🧮 確かめ:もし最高点で加速度が 0 なら

⚠️ ありえない結果になる

加速度が \(0\) なら,速度は変わらない。最高点の速度は \(0\) なので,\(0\) のまま——つまりボールはそこで浮いたまま落ちてこないことになる。実際には落ちてくるので,加速度は \(0\) ではない。

🔑 まとめ

🔍 3. もっと詳しく

📈 v-t グラフで見ると

投げ上げの \(v\)–\(t\) グラフは,傾きが \(-g\) の 1 本の直線。最高点は,この直線が \(v = 0\) を横切る点にすぎない。

💬 補足

グラフの傾きが加速度。直線がまっすぐ(折れていない)=加速度が変わっていない,ということ。最高点でグラフが折れたり平らになったりはしない。

🪂 空気の抵抗があると

実際には空気の抵抗がはたらく。抵抗は動く向きと逆なので,上がる間は下向き(加速度は \(g\) より大きい),落ちる間は上向き(加速度は \(g\) より小さい)。最高点では速さが \(0\) なので抵抗も \(0\) になり,そこだけはちょうど \(a = g\)。

💡 もう一歩:上がる時間と落ちる時間

抵抗がなければ,上がる時間と落ちる時間は等しく,どちらも \(\dfrac{v_0}{g}\)。抵抗があると,上がる間のほうが加速度が大きい(速く減速する)ので,上がる時間のほうが短くなる。もどってきたときの速さも,投げたときより小さい。