物理 > 動く解説 > 物理 第2編 熱と気体|第1章 気体のエネルギーと状態変化
気体の状態を,p–V 図のまっすぐな道にそって B から C へ変える。B と C は同じ等温線の上にあるので,温度が同じ。では,道の途中の温度も,ずっと同じだろうか。
温度は \(pV\) に比例する。まっすぐな道の上では,\(pV\) は端ではなく途中でいちばん大きくなる。
なぜ途中で最高になるのか。温度を \(pV\) で表すところから見る。
温度と \(pV\) の関係(解説①),点を通る等温線の動き(解説②),接する点が最高になるわけ(解説③)の順に見る。
理想気体の状態方程式から,
\(pV = nRT\) \(T = \dfrac{pV}{nR}\)
気体の出入りが無いので,物質量 \(n\) と気体定数 \(R\) は変わらない。温度 \(T\) は \(pV\) に比例する。
p–V 図では,\(pV\) は原点と点を対角とする長方形の面積。B の長方形は縦に長く,C の長方形は横に長いが,面積は同じなので温度も同じ(図では,どちらも A の長方形の 3 つ分)。
まっすぐな道は,B を出ると B・C の等温線より外側を通る。点を通る等温線は外へ移り,温度は上がる。
進んでいくと,点を通る等温線が道にちょうど接する。ここで等温線はいちばん外側になり,温度がいちばん高い。
その先は内側の等温線へ戻り,C で B と同じ温度になる。シリンダーの分子も,いったん速くなってから遅くなる(速さ ∝ \(\sqrt{T}\))。
等温線が道と 2 点で交わるとき,道はその 2 点のあいだで等温線の外側を通る。だから,あいだの点のほうが温度が高い(B・C の等温線がその例)。
温度を上げていくと,交わる 2 点は近づき,やがて 1 点になる(接する)。それより外側の等温線には,道は届かない。接する点が,道の上でいちばん温度の高い点。
「B・C の温度がいちばん高い」「まっすぐな道なら温度もずっと同じ」は誤り。B・C は,この区間でいちばん温度が低い状態。まっすぐな道(直線)と等温線(双曲線)はちがう線。
\(T = \dfrac{pV}{nR}\)。p–V 図では,原点と点を対角とする長方形の面積。
まっすぐな道の上では,等温線にちょうど接する点で温度がいちばん高い。
まっすぐな道を \(p = -aV + b\)(\(a > 0\))と書くと,
\(pV = -aV^2 + bV = -a\left(V - \dfrac{b}{2a}\right)^2 + \dfrac{b^2}{4a}\)
温度は \(V\) の 2 次式で,グラフは上に凸の放物線。頂点 \(V = \dfrac{b}{2a}\) で \(pV\) がいちばん大きく,\(\dfrac{b^2}{4a}\) になる。
等温線 \(pV = k\) と道 \(p = -aV + b\) の交わりは,\(V(-aV + b) = k\) より
\(aV^2 - bV + k = 0\) 判別式 \(D = b^2 - 4ak\)
道が頂点 \(V = \dfrac{b}{2a}\) をふくまない(接する点が道の外にある)ときは,道の上で温度はずっと上がるか,ずっと下がる。そのときの最高温度は頂点に近いほうの端。上の T–V 図の破線(道の外)の部分に頂点があるとき,と考えればよい。最高温度を求めるときは,接する点(頂点)が道の中にあるかを必ず確かめる。
道は \(p = -\dfrac{p_0}{V_0}V + 4p_0\)。\(pV\) がいちばん大きいのは \(V = 2V_0\)(このとき \(p = 2p_0\))で,\(pV = 4p_0V_0\)。B・C の \(pV = 3p_0V_0\) の \(\dfrac{4}{3}\) 倍なので,B・C の温度を \(3T_0\) とすると最高温度は \(4T_0\)。この例では B と C が同じ等温線の上にあるので,接する点はちょうど BC の中点になる。