物理 > 動く解説 > 物理 第5編 原子|第2章 原子と原子核
水素原子の電子が外側の軌道から内側の軌道へ移る(落ちる)と,光を出す。その光を波長ごとに分けると,とびとびの線が並ぶ。
光子 1 個のエネルギー \(h\nu\) は,移る前と後のエネルギー準位の差(落差)。落差が大きいほど振動数 \(\nu\) は大きく,波長は短い。
なぜ外側からほど短いのか。準位の図で,落差を矢印の長さとして見る。
光子 1 個のエネルギーが落差になること(解説①),落差が大きいほど波長が短いこと(解説②)の順に見る。
電子のエネルギーは,軌道ごとに決まった値(エネルギー準位)をとる。外側の軌道ほど高い(\(0\) に近い)。
電子が \(n = 3\) から \(n = 2\) へ落ちると,エネルギーは \(E_3 - E_2\) だけ減る。その分を光子 1 個がもって出ていく。
\(h\nu = E_3 - E_2\)
\(= \left(\dfrac{1}{4} - \dfrac{1}{9}\right)E_0 = \dfrac{5}{36}E_0\)
同じ \(n = 2\) へ落ちるなら,外側の準位ほど高いので,落差は大きい。
\(E_3 - E_2 < E_4 - E_2 < E_5 - E_2\)
波の基本式 \(c = \nu\lambda\) より \(\nu = \dfrac{c}{\lambda}\)。これを入れると,
\(E = h\nu = \dfrac{hc}{\lambda}\)
\(h\) と \(c\) は決まった値なので,\(E\) が大きいほど \(\lambda\) は短い。3 からは赤,4 からは青緑,5 からは青紫と,外側から落ちるほど波長の短い線になる。
\(\lambda = \dfrac{hc}{E}\) なので,2 本の線の波長の比は,落差の逆の比になる。
\(\dfrac{\lambda_{4 \to 2}}{\lambda_{3 \to 2}} = \dfrac{E_3 - E_2}{E_4 - E_2}\)
\(= \dfrac{5}{36} \div \dfrac{3}{16} = \dfrac{20}{27}\)
3→2 の \(6.56 \times 10^{-7}\) m に \(\dfrac{20}{27}\) をかけると,
\(\lambda_{4 \to 2} \fallingdotseq 4.86 \times 10^{-7}\) m
図の青緑の線と同じ。
「外側から落ちるほど短い」は,落ちる先が同じ(\(n = 2\))ときの話。\(4 \to 3\) のように落ちる先がちがうと,落差 \(E_4 - E_3 = \dfrac{7}{144}E_0\) は \(3 \to 2\) の \(\dfrac{5}{36}E_0\) より小さく,波長は長い(約 \(1.87 \times 10^{-6}\) m の赤外線)。決めるのは「どこから」ではなく落差の大きさ。
移る前と後の準位の落差:\(h\nu = E_n - E_2\)
\(E = \dfrac{hc}{\lambda}\) なので,落差が大きいほど振動数は大きく,波長は短い。
6 から落ちると \(4.10 \times 10^{-7}\) m の紫の線。\(n\) を大きくすると準位は \(0\) に詰まっていくので,落差は \(E_\infty - E_2 = \dfrac{E_0}{4}\) に近づくが,それより大きくはならない。
\(\dfrac{\lambda_\infty}{\lambda_{3 \to 2}} = \dfrac{5}{36} \div \dfrac{1}{4} = \dfrac{5}{9}\)
だから線は短いほうへ詰まっていき,限界の波長より短くならない。
\(\lambda_\infty \fallingdotseq 3.64 \times 10^{-7}\) m(紫外線)
落ちる先が \(n' = 1\) ならライマン系列(落差が大きく紫外線),\(n' = 2\) ならバルマー系列(可視光),\(n' = 3\) ならパッシェン系列(赤外線)。どの系列でも,\(\dfrac{hc}{\lambda} = E_n - E_{n'}\) を \(hc\) でわった形で波長が決まる。
\(R = \dfrac{E_0}{hc} \fallingdotseq 1.10 \times 10^{7}\) /m(リュードベリ定数)。\(n\) が大きいほど \(\dfrac{1}{\lambda}\) は大きく(波長は短く)なり,\(n \to \infty\) の \(\dfrac{R}{n'^2}\) が系列の限界になる。