物理 > 動く解説 > 物理 第4編 電気と磁気|第3章 電流と磁場
鉛直な軸のまわりに回れる正方形の枠がある。質量 \(M\) は軸から遠い一辺にだけあり,この辺には下向きに電流 \(I_L\) が流れる。 磁場 \(B\) は一様で,水平な向き。この枠を,うえから見て少し回して放すと,どう動くだろうか。
ずれ \(Y\) に比例してまん中へ戻す力なので,ばね定数 \(I_LB\) のばねと同じ単振動になる。
① 力の向きと大きさ → ② 回す働きをする成分 → ③ ばねとくらべて周期を出す → ④ 往復の形,の順に見る。
長さ \(\ell\) の導線に電流 \(I_L\) が流れると,磁場 \(B\) から大きさ \(I_LB\ell\) の力を受ける。向きはフレミングの左手の法則で,横から見て右向き。
上の辺・下の辺の力は鉛直(鉛直な軸のまわりに回さない),軸の上の辺の力は軸を通る。回す働きをするのは,軸から遠い一辺の力だけ。
磁場は一様で,電流の向き(下向き)も変わらないので,枠を回しても力はいつも同じ向き・同じ大きさ。
力 \(I_LB\ell\) を,棒に沿う成分と,棒に垂直な成分に分ける。棒に沿う成分は軸を引くだけで,回す働きをしない。
棒の先のまん中の線からのずれを \(Y\) とすると,垂直な成分は力の \(\dfrac{Y}{\ell}\) 倍で,\(F_{\text{⊥}} = I_LB\ell \times \dfrac{Y}{\ell} = I_LB\,Y\)。向きはいつもずれと反対(まん中へ戻す向き)なので \(F_{\text{⊥}} = -I_LB\,Y\)。
ずれに比例して戻す力 \(-kY\) は,ばねの力の形。ここでは \(k = I_LB\)。
なめらかな床の上で,ばね定数 \(I_LB\) のばねにつないだ質量 \(M\) の物体と同じ動きをする。磁場の力が,目に見えないばねの役をしている。
ばねの周期 \(T = 2\pi\sqrt{\dfrac{M}{k}}\) の \(k\) に \(I_LB\) を入れて,\(T = 2\pi\sqrt{\dfrac{M}{I_LB}}\)。電流や磁場を強くすると,ばねが固くなったのと同じで,速く往復する。
ずれ \(Y_0\) で放すと,まん中を通って,反対側の \(-Y_0\) まで行き,また戻る。
\(Y = Y_0\cos\dfrac{2\pi t}{T}\)。反対側に着くのは半周期 \(\dfrac{T}{2}\) のとき,1 周期 \(T\) でもとの所に戻る。
回す成分は \(-I_LB\,Y\)=ずれに比例してまん中へ戻す。ばね定数 \(I_LB\) のばねと同じ。
\(T = 2\pi\sqrt{\dfrac{M}{I_LB}}\)。半周期で反対側の同じずれ。
まん中からずれ \(Y_0\) までずらすとき,戻す力 \(I_LB\,Y\) にさからって仕事をする。力はずれに比例するので,仕事は三角形の面積で \(\dfrac{1}{2}I_LB\,Y_0{}^2\)。 ばねの弾性エネルギー \(\dfrac{1}{2}kx^2\) と同じ形になる。
戻す力 \(-I_LB\,Y\) は,どの角でもそのまま成り立つ。ただし棒の先は円の上を動くので,大きく回すと,ずれ \(Y\) の動きがばねとぴったり同じにはならない。 少し回すときは,棒の先はほぼ横の線の上を動くとみなせて,ばねと同じ単振動になる。
向きと大きさが変わらない力で,軸のまわりに戻される動きは,重力で戻される振り子と同じ形。振り子では重力 \(Mg\) が,ここでは磁場の力 \(I_LB\ell\) が,その役をしている。