物理 > 動く解説 > 物理 第5編 原子|第2章 原子と原子核
ウラン \({}^{238}\mathrm{U}\) の原子核は,半減期 \(T\) がたつと半分が鉛 \({}^{206}\mathrm{Pb}\) に変わる。では,もう 1 回 \(T\) がたつと,残りも全部なくなるだろうか。
\(2T\) で \(\dfrac{1}{4}\),\(3T\) で \(\dfrac{1}{8}\) が残り,0 にはならない。
なぜ「2 回で全部」にならないのか。1 回ずつ数えて確かめる。
\(T\) ごとに並べ(解説①),式にまとめ(解説②),最後にまちがった考えとくらべる。
はじめ(\(t = 0\))の数を \(N_0\) とする。\(T\) で半分が Pb に変わり,\(N = \dfrac{1}{2}N_0\)。
次の \(T\) で減るのは,そのとき残っている数の半分。
\(2T:\ N = N_0 \times \dfrac{1}{2} \times \dfrac{1}{2} = \dfrac{1}{4}N_0\)
\(3T:\ N = \dfrac{1}{4}N_0 \times \dfrac{1}{2} = \dfrac{1}{8}N_0\)
何回半分にしても,残りは 0 にならない。
\(T\) たつごとに \(\dfrac{1}{2}\) を 1 回かける。時間 \(t\) のあいだに \(T\) は \(\dfrac{t}{T}\) 回分あるので,
\(N = N_0\left(\dfrac{1}{2}\right)^{\frac{t}{T}}\)
グラフは 3 つの点を通るなめらかな曲線。たとえば \(t = 1.5T\) なら \(\left(\dfrac{1}{2}\right)^{1.5} \fallingdotseq 0.35\) が残る。
「\(T\) で半分減ったから,次の \(T\) で残りも全部」は,同じ数ずつ減る(直線で減る)と考えている。実際は残っている数に比例して減るので,残りが少ないほど減る数も少ない。
\(T\) で \(\dfrac{1}{2}N_0\) 減り,次の \(T\) でも \(\dfrac{1}{2}N_0\) 減る → \(2T\) で 0。
次の \(T\) で減るのは \(\dfrac{1}{2} \times \dfrac{1}{2}N_0 = \dfrac{1}{4}N_0\) → \(2T\) で \(\dfrac{1}{4}N_0\) 残る。
\(T\) で \(\dfrac{1}{2}\),\(2T\) で \(\dfrac{1}{4}\),\(3T\) で \(\dfrac{1}{8}\)。0 にはならない。
\(N = N_0\left(\dfrac{1}{2}\right)^{\frac{t}{T}}\)(\(\dfrac{1}{2}\) を \(\dfrac{t}{T}\) 回かける)。
鉱物ができたとき Pb が無かったとすると,U が 1 個崩壊するごとに Pb が 1 個できるので,はじめの数は \(N_0 = N + n\)(\(n\):今の Pb の数)。
\(\dfrac{N}{N + n} = \left(\dfrac{1}{2}\right)^{\frac{t}{T}}\)
右辺には今の \(N\) と \(n\) の比しか入らないので,はじめの数を知らなくても年齢 \(t\) が分かる。U : Pb = 4 : 1 なら,残りは \(\dfrac{4}{5}\) で \(t \fallingdotseq 14\) 億年(半減期の 3 分の 1 ほど)。
原子核 1 個 1 個は,いつ崩壊するかが決まっておらず,同じ時間のあいだに崩壊する確率が同じ。だから,たくさん残っているときはたくさん崩壊し,少なくなると崩壊する数も少なくなる。