物理 > 動く解説 > 物理 第4編 電気と磁気|第4章 電磁誘導と電磁波
一様な磁場 \(B\)(画面の表から裏へ)の中で,長さ \(\ell\) の金属の棒を,右へ一定の速さ \(v\) で動かす。棒は電池にも導線にもつないでいない。 それでも,動かすだけで,棒の両端に電圧ができるだろうか。
正の電荷が残る端のほうが電位が高い。動く棒は,電圧 \(vB\ell\) の電池と同じはたらきをする。
① 電子にはたらく力 → ② 電子が寄る → ③ 電場が育ってつり合う → ④ 両端の電位差とどちらが高いか,の順に見る。
金属の棒の中には,動けない正の電荷と,自由に動ける電子がある。どちらも棒といっしょに右へ速さ \(v\) で動いている。
磁場の中を動く電荷は,動く向きに垂直な力を受ける(ローレンツ力)。電子の電気量の大きさを \(q\) とすると,大きさは \(qvB\)。
フレミングの左手の法則で,右へ動く正の電荷なら上向き。電子は負の電荷なので,逆の下向き。
電子は下向きに押されて,棒の下の端に集まる。電子は棒から出ていかないので,下の端には電子がよけいにたまる。
上の端は電子が足りなくなり,動けない正の電荷が残る。棒全体の電荷の和は 0 のまま。
上の端の正の電荷と下の端の電子は,棒の中に上から下へ向かう電場 \(E\) をつくる。電子は負の電荷なので,電場と逆の上向きに力 \(qE\) を受ける。
電荷がたまるほど \(E\) は強くなり,\(qE\) は大きくなる。\(qE\) がローレンツ力 \(qvB\) とつり合うと,電子はもう寄らない。
棒の中のどの電子でもつり合うので,棒の中の電場はどこでも \(vB\)(一様)。
一様な電場では,電位差は電場と距離のかけ算。長さ \(\ell\) の両端の電位差は \(E\ell = vB\ell\)。
電位は電場の向きに進むと下がる。電場は上から下へ向かうので,正の電荷が残る上の端が高い。 電子が寄る端を高いとするのはよくある誤り(電子は負の電荷なので,電子が寄る端は低い)。
両端の電位差は \(vB\ell\)。正の電荷が残る端がプラス極。
\(qE = qvB\) でつり合うまで寄るので \(E = vB\)。
棒を 2 本のレールの上で動かし,レールの端を抵抗でつなぐと,棒が電池のはたらきをして電流が流れる。この起電力が誘導起電力 \(vB\ell\)。 電流が流れると棒の両端の電荷が減るが,電子はまたローレンツ力で寄るので,棒は電池のように電流を流し続ける。
レールと棒で囲まれた面は,1 秒間に \(\ell \times v\) ずつ広がる。そこを貫く磁束は 1 秒間に \(B\ell v\) ずつ増えるので,電磁誘導の法則でも起電力は \(vB\ell\)。 「電子にはたらくローレンツ力」で考えても,「磁束の変化」で考えても,同じ答えになる。
電位差に効くのは,棒の長さのうち速さの向きに垂直な部分だけ。棒が斜めのときは,速さに垂直な長さで \(vB\ell\) の \(\ell\) を置きかえる。