物理 > 動く解説 > 物理 第1編 力と運動|第2章 剛体
軸のまわりに回れる棒の,軸から \(d\) の所を,力 \(F_1\) で棒に垂直に押す。このままでは棒は左回りに回り出す。 軸の反対側の,軸から \(\ell\) の所も押して,棒を回らないようにするには,どちら向きに,どれだけの力で押せばよいだろうか。
つり合わせるのは力の和ではなく,力のモーメント。右も同じ向きに押す。
① 力のモーメントとは → ② 同じ向きの力でも打ち消せる → ③ うでが長いほど小さな力 → ④ 力の和を 0 にすると,の順に見る。
棒を回すはたらきは,力の大きさだけでなく,軸から力までの距離(うでの長さ)でも決まる。
力 × うでの長さを力のモーメントという。図では,うでを横・力を縦にした長方形の面積で表した。
左の点を下向きに押すと,棒は左回り(反時計回り)に回ろうとする。
右の点を同じ下向きに押すと,棒を右回りに回そうとする。軸の両側にある力は,同じ向きでも回す向きが逆になる。
左回りの \(F_1 d\) と右回りの \(F_2 \ell\) が等しい(2 つの長方形の面積が等しい)とき,棒は回らない。
2 つの力の和は下向きに \(F_1 + F_2\) で 0 ではない。それは軸が上向きに \(F_1 + F_2\) の力で支える。軸の力は軸の上にはたらくので,回すはたらきをもたない。
右のうで \(\ell\) を長くすると,長方形は横に長く,背が低くなる。同じ面積なら,力 \(F_2\) は小さくて済む。スパナの持つ所が長いほど,小さな力でボルトを回せるのと同じである。
「動かないのだから力の和を 0 に」と考えて,右を上向きに同じ大きさ \(F_1\) で押すと,右の力も棒を左回りに回す。2 つの力のモーメントは打ち消し合わず,足し合わさって \(F_1(d+\ell)\) になり,棒は回り出す。
言い換えると,回らない条件は力の和が 0 であることではなく,左回りと右回りの力のモーメントが等しいことである。
力が棒に垂直でないときは,うでの長さは「軸から力の作用線までの距離」になる。棒にそった距離 \(x\) で,力が棒と角 \(\theta\) をなすなら,うでの長さは \(x\sin\theta\) で,力のモーメントは \(F x \sin\theta\)。
回れる台の上の 2 つの物体に,磁場から同じ向きの力がはたらく場面でも,考え方は同じ。台が回らない条件を,力の和ではなく軸のまわりの力のモーメントで立てる(京都大 2026 前期 第2問)。